皆さんは”クラウドサービス”というものを聞いたことがありますか?オフィス内ではサーバーやパソコンを中心に、様々なデータやソフトウェア(システム)が運用されています。皆さんのオフィスでも様々なソフトウェアを導入しているはず。
近年、オフィス内で運用されてきたソフトウェアが”クラウド(インターネット上)”に。あえて設備、ソフトウェアを用意しなくても導入できるようになってきています。そう遠くない将来、クラウドサービスだけですべて賄える時代がくる可能性も。
そこで、今回はクラウド化の進む現代において、オフィスにおすすめするクラウドサービスをご紹介しましょう。ストレージ代わりになるもの、スケジュール管理に使えるものなど項目ごとに全30のサービスをまとめていますので、参考にしてください。
冒頭で紹介した通り、近年は少しずつ様々なモノのクラウド化が。では、”クラウドサービス”とは何かご説明しましょう。
オフィスにはパソコン、複合機やビジネスフォンなどの”電子機器”。資料や請求書、カレンダーや写真などの”紙媒体”も。特に紙媒体の占める空間の割合というのは大きく、これらを保管するためだけに少なくないコストがかかっています。
クラウドサービスとは従来はオフィス内で管理、運用していた設備やソフトウェア、サービスをネットワーク経由で提供するもの。皆さんはパソコンやスマホ、タブレットなどインターネットにアクセスできる端末、環境さえあればどこでも利用できます。
クラウドサービスには大きく分けて3つの種類があります。
ソフトウェア(システム)をインターネット環境を利用して提供するもの。例えば、GoogleドライブやDropboxのようないわゆる”オンラインストレージ”、SkypeやLineのような”通信アプリ”など。インターネット環境で使えるアプリケーション、サービス関係の大半はこの”SaaS”に分類されます。
サーバーやストレージ、ネットワーク環境などの開発基盤をサービスとして提供するもの。つまり、クラウドサービス(ソフトウェア)を開発するための基盤を開発したものになります。正直、”PaaS”は開発者向けのサービスなので、利用者側である皆さんにはほとんど馴染みのないサービスです。
サーバーやストレージ、ネットワーク環境などの開発基盤をそのままサービスとして提供したもの。”PaaS”とは異なり、最低限の機能だけが提供されているので自由度が高く、より専門的なソフトウェア開発ができます。ただし、”IaaS”はそれだけ専門知識が求められる、高度な開発者向けのサービスです。
皆さんが利用するクラウドサービスの大半は”SaaS”ということ。では、オフィスでクラウドサービスを利用するメリット・デメリットをご紹介しましょう。
クラウドサービスのメリットは以下の3つ。
クラウドサービスはネットワーク環境から提供されています。その為、ネットワーク環境にさえアクセスできれば”どんな端末”でも、”どこからでも利用可能”です。オフィスだけでなく、出張先や自宅でも利用できるのはクラウドならではと言えます。
クラウドサービスはサービスを利用するコストしかかかりません。これまでは設備やソフトウェアを購入し、さらに管理し続ける必要が。その点、クラウドサービスはインターネット上にあるので、初期費用も管理費用もほとんどかからないのです。
クラウドサービスは世界中の開発者が毎日、毎月のように新しいものを開発しています。正直、正確な数を数えられないほど。人気の高いものに絞っても100種類以上と、「こんなサービスを」と思えばまず欲しいサービスが見つかるほどです。
クラウドサービスのデメリットは以下の3つ。
クラウドサービスは開発者の開発思想、開発環境に大きく依存しています。サービスとして提供されている時点ですでに”パッケージ化”されているのでカスタマイズは困難に。似たようなサービスがあったとしても、基本的に互換性はありません。
クラウドサービスはインターネット環境を経由して提供されています。その上、サービスによっては顧客情報を始めとした”機密情報”が保存されることに。その性質上、不正アクセスや情報漏洩など、どうしてもセキュリティに不安が残るのです。
クラウドサービスはインターネット環境に接続することで利用できます。反対に、インターネット環境に接続できないとサービスにアクセスできないということ。”通信環境に依存”するだけに、いかに安定した通信環境を維持できるかが重要です。
オフィスで利用したクラウドサービスとしてまず挙がるのがデータを保存し供給できる”ストレージサービス”。では、ストレージ代わりに使えるクラウドサービスを見ていきましょう。
グーグルの提供するクラウドストレージです。テキストや写真、画像などのファイルを保存、共有できるのはもちろん。Googleドキュメントとも連携できネットワーク上でファイルの作成、編集が。無料版は15GBで、月々250円で100GBまで使えます。
Dropboxフォルダにファイルを入れるだけと、簡単に保存できるクラウドストレージです。ブラウザからサイトにアクセスする必要もないので、サッと保存でき手間もかかりません。無料版は2GB、有料版なら月々1,200円で1TBまで使えます。
マイクロソフト社の提供するクラウドストレージです。Windows系のOSが入っているパソコン、またはマイクロソフトアカウントがあれば誰でも利用できます。無料プランでも15GBまで、有料プランだと月々1,274円で最大1TBまで使えます。
エックスサーバー社(レンタルサーバー関係)の提供するクラウドストレージです。さすがは人気レンタルサーバーを管理しているだけあり、まるでHDDを使っているように簡単に操作できます。無料版はなく、月々1,500円から50GBからです。
マッキントッシュの提供するクラウドストレージです。「iCloud」でお馴染みのクラウドサービスに、ファイルの保存機能を加えたもの。ファイル1つの容量制限は15GBと十分。無料版は5GBまで、有料版は月々100円で20GBまで使えます。
数あるクラウドストレージの中でも1,2を争うほど人気の高いサービスです。特に、”共同作業”に特化したワークスペースが使いやすく複数人で、チームで共有するのに向いています。無料版は10GBまで、有料版は月々550円で100GBまで。
ソフトバンクの関連企業が提供しているクラウドストレージです。”Sugarsyncファイルマネージャー(アプリ)”を使うことでブラウザにアクセスする必要がなく、ファイル共有の条件をより細かく設定できます。無料版はなく、有料版は月々750円から100GBまで。
オフィス内では社員ごとの”スケジュール管理”は必須です。そんなスケジュール管理に便利なクラウドサービスをご紹介しましょう。
グーグルの提供するオンライン(クラウド)カレンダーです。ブラウザ環境で利用できるクラウドサービスなので、パソコンやスマホ、タブレットにかかわらずどの端末でも利用できます。また、グーグルユーザーならスケジュール共有も可能です。
カレンダーアプリの老舗として人気を集めているクラウドサービスです。Androidアプリがまだ登場したての頃からあるサービスで、長年アップデートされて使い勝手は1,2を争います。天気やJリーグなどのイベントスケジュールの反映もできます。
日記のように、手帳のように気軽に利用できるよう設計されたカレンダーアプリです。カレンダー機能の他にToDoリスト、ノート(メモ帳)や日記なども。カレンダーに使えるスタンプが600種類以上、テーマも20種類以上から選べて自分だけの手帳を作れます。
Yahoo!の提供する公式カレンダーアプリです。シンプルなカレンダー機能で使いやすく、かつ現在地を設定すればカレンダー上に天気予報が表示されます。可愛い系からビジネス系まで、幅広くスタンプが用意されているのでプライベートにも使えます。
表示形式の多さであれば1,2を争うほど豊富なカレンダーアプリです。カレンダー部分は全8種類のテンプレートから表示形式を選べます。また、基本的な機能、操作方法はGoogleカレンダーを参考にしているので操作性も高いです。
オフィス内では社員同士、顧客との”コミュニケーション”が欠かせません。では、コミュニケーションを変えてくれるクラウドサービスをご説明しましょう。
「通話アプリは?」で必ず名前の挙がるほど人気の高いコミュニケーションアプリです。マイクロソフト社の提供しているサービスで、全世界で何百万人ものユーザーが。チャットから通話はもちろん、課金すれば電話番号にも発信できます。
Line株式会社の提供する、日本最大のコミュニケーションアプリです。チャット機能や無料通話機能の他に、ニュースや天気予報なども。最近ではショッピングや漫画レンタル、デリバリーや決済機能などよりサービス内容が充実しています。
インターネット環境をベースに製作されたコミュニケーションアプリです。その名の通り、”チャット機能”に特化しており、1度アップロードしたファイルはいつでもダウンロードが。ブラウザやOS、端末に関係なくどんな環境でも問題なく利用できます。
メッセージ機能の他に、文章の作成と共有までできるコミュニケーションアプリです。文章機能にチャットも付属しているので、作業をしながら同時進行で会話することも。オフライン時でも作業でき、オンラインと同時に同期は始まる仕様です。
完全無料で利用できるコミュニケーションアプリです。無料ながらも最大300人までとつながることができ、複数のグループを形成できます。また、共有フォルダやリスト管理、掲示板などと情報共有に役立つ機能が満載なのも特徴です。
Googleトークの代わりに登場した、グーグルの提供するコミュニケーションアプリです。単純にメッセージで会話するだけでなく、写真や絵文字、動画なども。ビデオ通話機能もあり、最大10人まで同時に通話でき¥テレビ会議に便利なアプリです。
他のコミュニケーションアプリにはない、面白い機能が搭載されたサービスです。例えば、メッセージを総括する”まとめ機能”、SNSのように「いいね」を送信できるなど。ログインに2段階認証を採用しているので、セキュリティ面にも強いです。
オフィスでは毎月のように収支を、経費などを”財務会計”として記録しておく必要が。では、財務会計におすすめなクラウドサービスを見ていきましょう。
基本機能のほぼすべてを無料で使える財務会計サービスです。会計関連のクラウドサービスでおよそ4割のシェアを占めるほど人気。それだけ操作性が高く、経理や簿記の知識がない方でも適切な処理ができるよう設計されています。
ソフトウェア、クラウドサービスを含めた会計関連でシェアNo.1を誇るサービスです。ソフトウェアとしてすでに利用しているオフィスも多く、クラウドサービスとして移行するのにもあまり抵抗がありません。また、WindowsだけでなくMacでも問題なく利用できます。
インターネット環境での稼働を想定して設計された財務会計サービスです。その為、WindowsやMacなどOSの種類に関係なく、インターネット環境にさえつながれば利用できます。入力作業を簡素化してあるので会計処理がとても簡単です。
国内で40年以上利用され続けた、老舗会計ソフトを参考に設計されたクラウドサービスです。日本ならではのビジネス習慣を想定して設計されているのもポイント。月々140,000円からと、かなり高額ですがそれだけ高性能です。
その名の通り、”富士通”が提供している財務会計サービスです。総務省の関わる”ASP・SaaS・クラウドアワード”において受賞するなど、公的機関から評価を受けるほど。人間工学に基づいたデザインが採用され、会計処理が捗ります。
FUJITSU Enterprise Application GLOVIA smart きらら
クラウドサービスの中には絶対必要ではないものの、あるとちょっとだけ便利になるものも。では、あるとちょっと便利なクラウドサービスをご紹介しましょう。
テキストや写真、音声など様々な情報をメモ感覚で記録できるクラウドアプリです。主にスマホ、タブレットでの利用を想定されているので、感覚的に使いやすいという特徴が。メモ関連のアプリとしては1,2を争うほど人気を集めています。
その名の通り、シンプルにノート感覚でメモの取れるクラウドサービスです。メモに特化したサービスなので設計がシンプルで動作が軽く、同系統のサービスと比較しても同期が早いです。メモだけを想定しているなら使い勝手がいいと言えます。
グーグルの提供するメモサービスです。テキストにリスト、写真にボイスと4つのサービスが。グーグルが開発、提供しているだけにパソコンからスマホまで端末に合わせた表示ができます。グーグルアカウントがあるならぜひ試したいサービスです。
インターネット上で請求書を作成し、発行から発送、管理までできるクラウドサービスです。インターネット環境さえあればパソコン、スマホやタブレットでも。請求書だけでなくその他書類の発送代行も、Evernoteとの連携にも対応しています。
顧客管理や請求書作成、ウェブメール管理やアプリ製作まで幅広い機能を使える便利サービスです。他にもカレンダー機能や資料作成など25種類以上のサービスが。1つの画面上で一括して利用できる上に、基本サービスは無料です。
ドラッグ&ドロップするだけと、簡単にファイル共有のできるサービスです。この手のサービスによくあるアカウント登録もなく、最大2GBまでのファイルを送信できます。アップロードしたファイルは、1度だけダウンロードできるのでセキュリティ的にも安心です。
先述したように、クラウドサービスにはオフィス内で使える様々なサービスが。ただ、便利なクラウドサービスにも、知っておくべき注意点が3つほどあります。
近年、特定のクラウドサービス関係者を装い、利用者当てに”フィッシングメール”が送られてくる事件が増えています。メールを開けたり、情報を入力したりするとログイン情報を盗まれる危険性が。
アカウントの悪用や情報漏洩につながるかもしれません。心当たりのないメール、知らない相手からのメールは絶対に開けないようにしましょう。悪質な場合には、警察のサイバー対策係に相談するのも1つの手です。
先述した内容から分かる通り、同系統のクラウドサービスだけでも複数あります。似たようなサービスでも、細かな部分で機能や性能、操作性などには差が。実際に複数のサービスを使った上で、もっとも使いやすいものを選ぶのがいいです。
ちなみに、クラウドストレージに関しては2,3サービスを併用するのがおすすめです。大切なデータを2,3サービスで同じように保存しておけば、万が一サービスが停止してもデータが失われるのを防げます。
クラウドサービスを利用する上で、絶対にしてはいけないのが”パスワードの使い回し”。もし、特定のサービスでパスワードが流出したら、他のサービスにまで被害の及ぶ可能性が。オフィス内の重要機密のすべてを危険に晒している訳です。
まったく異なるパスワードを作るのが大変なら、”基本の文字列+サービス名の一部”という組み合わせも。これならサービス名の部分を変えるだけと、無理なくより安全にパスワードを管理できます。
今回は、オフィス内で導入したいおすすめの”クラウドサービス”についてまとめてみました。クラウドサービスとは従来はオフィス内で管理、運用していた設備やソフトウェア、サービスをネットワーク経由(クラウド上)で提供しているもの。
インターネット環境にさえつながれば、パソコンやスマホ、タブレットなど様々な端末、場所からアクセスできるのが魅力です。また、クラウドサービスと一括りにしていますが、ストレージサービスやスケジュール管理など様々なサービス内容も。
もちろん、インターネット環境にソフトウェアを、情報を記録しているだけにセキュリティには不安が。しかし、情報を分散し、適切に運用すれば不安は取り除けます。今後は、ほぼすべてのソフトウェアがクラウド化するのは間違いありません。
ぜひ、紹介した内容を参考に、オフィス内でも積極的にクラウドサービスの導入を検討してみてください。
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